琉球大学 東矢光代先生
学生の多様な価値観を明らかにし、目標設定を支援
フィールド
琉球大学・東矢光代先生の英語の習得方法などに関する講義にて、学生同士のオンライングループディスカッションでWeb会議の見える化サービス Hylable をご利用いただきました。
導入の目的
東矢先生は以前から、英語の習得方法などに関する講義の中でグループワークといったアクティブ・ラーニングを取り入れてきました。
しかし、コロナ禍でオンライン中心の授業になり、学生たちの様子が把握できなかったところ Hylable を知り、オンライン上のアクティブ・ラーニングを記録できるという点に研究的関心をもちました。
それに加え、学生たちが自分自身の振る舞いの特徴を知り、それについて考えられるような機会を提供したいという願いもありました。
授業モデル
講義は原則として全体レクチャー(Zoom)を行った後、グループディスカッション(Hylable)を行いました。以下の流れで授業を行いました。
学生が準備することは特にありません。東矢先生はグループディスカッションの分析結果を保存するコースの変更をおこないました。
学生はZoomから抜けて、Hylableに移行し、グループディスカッションを開始しました。東矢先生はHylableの教師用画面(ロビー)からそれぞれのグループ全体の様子を観察していました。これにより、Zoomでは実際にそれぞれのブレイクアウトルームに入室しなければ分からなかった、学生がシステムに入れたかどうか、話し合い活動がきちんと行われているかどうかを把握することが出来ました。
どちらの授業においても、東矢先生から学生へ「どの分析結果が正解、どんなグラフがいい」などについての説明は行いませんでした。
学生はハイラブルの分析結果についての振り返りを課題として提出しました。
成果
ハイラブルの使用による学生の変化の一つは、積極的に話し合いに取り組もうという姿勢が確認できたことです。話し合いが記録されることへの意識が生まれたことにより、Zoom利用時には一度も発言をしなかった学生や話し合いが得意でない学生の積極性に向上が見られました。
また、ハイラブルを用いて振り返りを行ったことで、学生自身が自分の特徴に気づきました。例えば、話し方の特徴、発言しやすい条件や状況について発見することができました。さらに、発言機会が平等であることの重要性を認識できた例もありました。
その他にも、記録に残ることで教員に見てもらえる安心感や各々が自分で「これができたら嬉しい」という目標を立てることができるようになるといった利点を感じた学生もいました。
一方で、本人が最もうまく行ったと認識したグループワーク回への評価と、グループワークがうまく行ったと判断する規準は、学生により様々でした。その多様な評価において、ハイラブルの分析結果に対しての評価も様々でした。
例えば、「発話量が多いこと」をよいグループワークの規準とする学生もいれば、発話量の多さよりも「グループ全体がバランスよく全員発言できたこと」を規準とする学生もいました。このように、ハイラブルの分析結果は学生の多様な価値観を明らかにし、その目標設定を助けるものとなりました。
東矢先生は、「最適なグループ編成を見つける」ことを目標とされています。一見うまくいっているように見えるグループディスカッションも、話し合いが得意なメンバーだけが発言しているなどグループとしての活動になっていないという懸念もあります。今後は、どのようなメンバーの組み合わせにすればディスカッションが円滑に進むのかなどメンバー編成の検討にハイラブルを使用することを考えていらっしゃいます。
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