導入実績

CASE
2020-01-17

京都大学大学院 松岡真由子 様
(教育学研究科博士課程、神戸学院大学非常勤講師)

英語学習者のよりよいディスカッションのあり方を研究するために、高校や大学の英語の授業で利用していただきました。松岡先生は教育学研究者であり、英語教員として教鞭もとっています。

フィールド

ご利用いただいた場面は、英文を読んで日本語で話し合う授業(大阪明星学園明星高等学校)や、英語でディスカッションを行う授業(神戸学院大学)などです。生徒・学生たち(以下、学習者)自身で分析結果を見て話し合いを振り返りました。

導入の目的

松岡先生は、「外国語(英語)学習者の自律学習」を大きな研究テーマとし、なかでも自己調整学習(自発的に英語を学ぶ学習者自身の動機づけやその学習の仕組み)に焦点を当てて研究されています。元々英語教員であった先生は、英語の授業におけるグループディスカッションの場面を観察し、学習者が自分の考えを相手へ伝えることが困難になる要因を探りたいという希望をもっていました。それに基づいたフィードバックを学習者に提供するためです。しかし、話し合いのグループすべてを教員が同時に観察することは物理的に不可能です。そのような中で、エビデンスに基づかない成績評価には教員の印象が影響を与えているのではという懸念もありました。Hylable Discussion の利用以前は、同様のサービスを提供する企業が見つからなかったため、話し合いを観察するための準備として数十台のICレコーダーを購入せざるを得ないこともあったそうです。

成果

学習者が話し合いの分析結果に対して見せた反応は活発なものであり、授業が教員の自己満足に終わらないという実感も得られました。自己調整学習にはこのような学習者自身の振り返りとその積み重ねが不可欠であり、そのサポートを弊社サービスが担うことができました。また、グループにおける高次の認知レベルの質問[1]の発声とターンテイク数との関係も指摘されました(松岡・水本,2018)。現在、教育心理学においては学習のプロセスそのものを観察、研究する必要が指摘されています[2]。Hylable Discussionはまさにそのプロセスを量的に表すことができるツールです。分析結果があれば、学習者と教育者が同じデータに基づいて話し合うこともできます。松岡先生からは、Hylable Discussion は話し合いのプロセスを自ら視覚的にとらえて振り返ることができるツールとして、現時点では100点満点だという評価をいただきました。ハイラブルと研究者・教育者との密なる連携に期待が寄せられています。

[1] Bloom’s taxonomyに基づく。Bloom’s taxonomyとは、アメリカの教育心理学者Benjamin Bloomが1956年に発表した学習理論によるもので、知識の習得から始まり、応用、評価、創造といったように教育において学習者の認知レベルが高次に進んでいく段階を表したもの。(L. W. Anderson et al., “Taxonomy for Learning, Teaching, and Assessing, A: A Revision of Bloom’s Taxonomy of Educational Objectives, Abridged Edition”, NY: Longman, 2000)
[2] 井上毅ほか,“認知心理学からみた教授学習過程研究の現状と今後の展開”, 日本教育心理学会第56回総会, p.38-39, 2014年10月
バリー・J. ジマーマン『自己調整学習ハンドブック』北大路書房、2014年

(写真は、KOTESOL International Conference 2019 での松岡先生 [写真左] の発表時のものです。)