導入実績

CASE
2020-06-02

東京学芸大学 北澤 武 先生
東京学芸大学附属小金井中学校 宮村 連理 先生

話し合いの見える化で学びの過程を明らかに。指導方法の検証への活用にも期待。

フィールド

中学3年生の理科の授業において、生徒自身が実験計画を立てるためのグループディスカッションにご利用いただきました。

理科の宮村先生のクラスでは、ICTを積極的に活用し、教師主導ではなく学習者を中心として組み立てた授業が展開されています。今回、生徒たちは自由落下運動 [1] についての仮説を証明するための実験装置や実験方法について班で話し合い、実験計画を立てました。計画を練るには、理科の知識のみならず数学の素養やデザイン感覚も必要となり、それだけ話し合いも総合的で複雑なものになります。生徒たちは実験計画をタブレットに記録し、話し合いを Hylable Discussion(ハイラブルディスカッション)で録音・分析しました。学期を通じ、このような話し合いは4クラスでのべ3,300人、録音時間の合計は600時間以上に及びましたが、その録音のすべてが Hylable Discussion で自動分析・見える化されました。

[1]「質量が異なっても形が同じ物体には同じ加速度がかかるため、同じ位置から落とせば同時に着地する」という物理法則

導入の目的

宮村先生の理科の授業への Hylable Discussion の導入は、STEAM教育 [2] の研究を専門とする東京学芸大学の北澤先生の研究の一環によるものでした。北澤先生は、生徒たちがどのように理科の学習目標を達成できるのかを知るために、学びの過程を見る必要がありました。そして、その学びの過程のハイライトは、まさに生徒たちが話し合いを重ねる様子そのものです。しかし、話し合いの様子は形に残らないので、それを分析することは困難でした。

[2] Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics などの教科での学習を実社会での問題発見・解決に活かしていくための教育のこと(文部科学省『Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~ (概要)』2018年 ほか参照)。

成果

Hylable Discussion による話し合いの見える化は、まさに学びの過程を明らかにするものでした。北澤先生は、見える化されたデータから、先生の足場かけ(支援)やタブレットの使用による話し合いの変化や、班における各生徒の発話の割合が実験計画とその実行に与える影響などを考察することができました。加えて、見える化されたターンテイク(話者交代)の回数に注目して、班での会話の中心となる生徒を見つけ出し、その発話を聞き返すことで話し合いの内容について考察を深めることも可能でした。
授業の実践者である宮村先生からは、のべ880班にもおよぶ話し合いの録音をブラウザ上で簡単に行える Hylable Discussion の使いやすさを評価していただきました。また宮村先生は、話し合いの様子が見える化されることを生徒へ説明することが、活発な議論を促す効果をもつことも実感されています。

両先生からは、教員養成のためのツールとしての Hylable Discussion の活用にも期待が寄せられています。例えば、先生が生徒たちにどのような課題を出せばどのような反応が得られるのか、どのような問いを与えるとどのように話し合いが深まり授業の成果が出るのか、先生がどのようなアドバイスをしたときに議論が活発になるのか、といった指導方法の検証への利用が想定されます。学びの過程の見える化は、教育の発展に大きな可能性をもっています。

小金井中学校では、引き続き Hylable Discussion を活用した研究や授業が継続される予定です。

研究の成果は、下記の論文でも発表されています。