職場における会議への介入方法の研究にご利用いただきました。
株式会社日立コンサルティングの社員を実験協力者として、4チーム(1チームあたり3~4人)×4回の計16ディスカッションが収録されました。議論の内容は、ビジネスプランを作成・提案するためのブレインストーミングでした。
田中様は、社内での研究活動の一環として会議への介入の方法を検討する研究を計画されていました。しかし、計量的な方法を用いた研究を行うのは初めてであったため、まずは会議分析方法やそのツールについて調査するところから研究に着手されました。そして、話し合い分析に関する論文などから当社を見つけられました。
実験では、会議中にクラシック音楽を再生するという形で会議に介入しました。同時に会議を Hylable Discussion によって録音・分析した結果、この介入により、分析結果のうち「盛り上げ量」が有意に高くなることが明らかになりました。盛り上げ量とは、ある参加者の発話がディスカッションを盛り上げたか盛り下げたかを表す指標です。例えば、参加者Aが発話した後に全体の発話量が増えた場合、参加者Aの盛り上げ量が検出されます。
さらに、一連の研究では質問紙調査も組み合わせて、チーム内連携欲求と発話の特徴などとの関係も考察されました。
田中様にとって Hylable Discussion は、会議の録音・分析機能が有用であったのみならず、研究デザイン自体にも方向を与えたツールでした。研究は、会議について何をどのような観点から分析するかを探るところから開始されました。その際に、会話の定量的評価を実現する手段として Hylable Discussion の存在があったことで、会議への介入前後で参加者の振る舞いを比較するという研究のゴールと、その具体的な実験手順を立案することができました。このように Hylable Discussion は、録音から分析結果の整形・出力までを一貫して担うため、研究者が目的の実験を素早く実行に移せる使いやすいプロダクトとなっています。
田中様は、今回の研究の成果を日本社会心理学会で発表されており、今後もハイラブルの製品を使った研究を計画されています。このようにハイラブルの製品は、研究デザインの観点からも研究をサポートするツールとして、さまざまな立場の研究者の方に広く用いられています。