Hylable Discussion がモザンビークでもすぐに使えた理由

ハイラブル株式会社の柳楽です。シニアエンジニアとして、主にシステムの開発や、システムで使われている音環境分析技術などの研究を担当しています。 この記事では、2021年7月から9月にかけて行われた、モザンビークでの授業改善プログラムにおける実証実験で、対面の話し合い見える化サービス Hylable Discussion を利用した時のことを振り返ってお話いたします。

実証実験の背景

独立行政法人国際協力機構 (JICA) は、アフリカ諸国の直面する開発課題を解決し、持続可能な開発目標 (SDGs) を達成するため、これまでのやり方にとらわれない発想で社会課題の解決に取り組むことを目指し、Africa Open Innovation Challenge powered by JICA を展開しています。
ハイラブルは、その中で、モザンビークにおける「教員養成校における授業改善に資する、教員・生徒の行動・発話を可視化・分析するイノベーション」プログラムに採択されました。(より詳細な内容はこちらのニュースをご覧ください。)
ハイラブルは、このプログラムにおける実証実験として、対面の話し合い見える化サービス Hylable Discussion を利用して、モザンビークの初等教員養成校(IFP)での授業中の話し合いの録音・分析を実施し、その結果を学生にフィードバックして、学生たちの行動がどのように変容するかを検証することにしました。
モザンビークの公用語はポルトガル語。それまでハイラブルでは、Hylable Discussion を利用したポルトガル語の話し合いの録音・分析や結果のフィードバックは一度も実施したことがありませんでした。さらには、社内にはポルトガル語がわかる人間は一人もいません。そのような状況にもかかわらず、特に大きなトラブルもなく、モザンビークでの収録・分析は無事に成功し、体験されたIFPの方々からもよい反応を頂きました。
では、どのようにしてこの実証実験を無事に実現させたのでしょうか?

モザンビークのIFPでの実証実験の様子。各テーブルにレコーダーをおいて収録。

実証実験成功の3つの鍵

実現の鍵となったのは以下の3点だと考えています。
  • Hylable Discussion の音環境分析技術は言語非依存
  • システムの国際化(i18n)に対応し、多言語化をサポート
  • 翻訳プロセスを確立し、きめ細かい改善を実施

  • 以下ではこれらの項目についてひとつずつ見ていきます。

    Hylable Discussion の音環境分析技術は言語を超える

    Hylable Discussion による話し合いの分析のコアである音環境分析技術は、話し合いの中の様々な ”量” を利用しているのが特徴です。そのため、言語に依存せずに分析が可能です。この強みを生かして、ポルトガル語の話し合いも日本語の話し合いと同様に分析し、結果を出すことができました。実際、話し合いの分析に関する部分はほぼ追加開発なしで実現できました。

    システムの国際化 (i18n) 対応

    Hylable Discussion は 国際化 (i18n)の仕組みを導入しており、このプロジェクトが始まるまでは日本語・英語の2言語を提供していました。 国際化 (i18n) は、簡単に言うと、アクセスするブラウザの言語設定によって自動的に表示を切り替える仕組みのことです。この仕組みを使えば、システムの各部分の対訳リストを用意しさえすれば、新しい言語にもすぐに対応できるようになります。今回のようにポルトガル語を追加する際も、スムーズに進められました。

    ログイン画面もブラウザの言語によって切り替わる。

    翻訳プロセスの整備ときめ細かい改善

    ポルトガル語への翻訳は以下のような流れで行うことにしました。
  • 日本語から英語への翻訳(社内)
  • 英語からポルトガル語への翻訳(現地の通訳に依頼)
  • 現地アシスタントからのフィードバックをもとに繰り返し微調整

  • 今回のプロジェクトでは、英語ーポルトガル語の間の通訳の方と、英語が話せる現地アシスタントの方がいらっしゃったので、そのお二方の力を借りるためにも、日本語から英語への翻訳は社内で実施しました。
    一番重要だったのは、最後の「現地アシスタントからのフィードバックをもとに繰り返し微調整」だと感じています。実際に現地での録音操作を行っていただく現地アシスタントの方に、翻訳されたページや資料を見ながら実際に操作していただいて、違和感を感じる翻訳を見つけていただきました。ハイラブル側ではそれをもとに都度修正を行い、短いスパンで細かいアップデートを重ねました。このプロセスを通じてシステムの実情にあった翻訳へとブラッシュアップできたのかなと考えています。

    各国語での標準レポートの一部。翻訳の内容は現地アシスタントの方と改善を重ねた。

    まとめ

    今回は、モザンビークでの授業改善プログラムにおいて、Hylable Discussion の実証実験を行ったときのことを振り返り、言語に依存しない音環境分析技術の可能性と、多言語化に柔軟に対応できる仕組みについてご紹介いたしました。
    今後もいろいろな言語での話し合いを分析し、世界中のコミュニケーションを豊かにしていきます!

    この記事を書いたメンバー

    柳楽

    主に音環境分析技術の研究やシステムの開発を担当。ほぼ常に旅に出たい(主に国内)と思っていて、隙あらば公共交通機関を駆使してどこかに行ってしまう。