【転載記事】Vol.8 ポカンゲームでチームの相互理解を促進する

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新型コロナウイルス感染症の広がりから、テレワークなど働き方の変化に伴い会議や議論も、これまでの対面中心からオンラインによる実施が増えている。しかし、企業活動において、会議・議論・相談など、音声によるコミュニケーションはいたるところに存在し、質の向上が求められている。これまで6万人以上の話し合いを分析してきた音の専門家が会議を解説するシリーズ「会議が見える〜音環境分析でコミュニケーションを豊かにする〜」。Vol.8 では、相互理解を深めるために効果的なポカンゲームについて、そのルールや、筆者らが実験した結果について紹介する。
「自分しか知らないこと」を軸に相互理解を深める

年度の切り替え時期なので、新しいチームが編成されることが増えると思います。そんなとき、チームビルディングということでお互いの共通点を見つけることはよく行われるのではないでしょうか。たとえば出身校や出身地、趣味や好きな映画など、共通点が見つかれば、それを軸にお互いをより理解し合えるでしょう。

では逆に、お互いの共通していないことが何かがわかるとチームにどんなことが起こるでしょうか?これが今回のテーマです。

おたまじゃくし研究所で開発した「ポカンゲーム」を紹介します。ポカンゲームでは「自分しか知らないこと」を軸にコミュニケーションをするゲームです。自分しか知らないことをみんなで推測することで、お互いの理解がより深まって、これまでになかった側面が見えてきます。知らないことを話したり、聞いて、面食らって口が開いたまま驚いてリアクションするときによく使われる「ポカンとした表情」から名付けました。

ポカンゲームのルール

ポカンゲームは、2人以上いれば遊べますが、できれば3人以上いたほうが楽しめるでしょう。(詳しい説明はこのページをご覧ください)

始めるにあたり、すべての参加者は、以下の内容で、簡素な文章を作って書き留めます。

【お題】自分のまわり(特定コミュニティ)では「常識」なことであるが、他の参加者には分からなそうなハナシをしてください。

条件は以下です。

  • 1つの文章で表現すること(スライドに書いておく)
  • 自分の思い入れのあるテーマであること
  • 略語は用いないこと(例:KPI)

「特定コミュニティ」には、以下のようなものがあります。

  • 自分の所属している or 所属していた学校や会社などの組織
  • 地元の言葉
  • 専門分野
  • 趣味 など

ポイントは「自分にとっては常識だけど、他の人はポカンとする文章」を考えることです。他の人が知っていてはダメなので、自分しか知らない文を見つけてみてください。すぐには思いつかないことが多いので、 事前課題にしてもよいでしょう。

準備が終わったら本番です。本番では、以下のようにゲームを進めていきます。1人が出題者になり、残り回答者になります。

  1. 【出題】

    出題者は準備してきた文章を示し、次にクイズ形式で質問をしてください。

    例:「この文章は何の説明をしている?」
      「どんな状況のときにこれを言う?」
  2. 【シンキングタイム】

    回答者は質問の答えを考えます。出題者に質問してもかまいません。適切に質問に回答したり、ヒントを出してください。

  3. 【回答と解説】

    正解が出た、または回答者が諦めたら、出題者はその文章について説明してください。

  4. 【わいわい】

    みんなでこの話題についてひとしきり、わいわいやってください。感想を言ったりしてもいいでしょう。

  5. 【ターンの切り替え】

    出題者を代えて 1に戻ります。

実験結果

ポカンゲームをおたまじゃくし研究所でも実験しました。

すると、「普段話していない人がたくさん話す」など様々なことが起こりました。シンキングタイムでみんながちょっと出題した文から外れたことを話すので、説明したい欲求が高まるようです。そして、正解と解説で欲求が一気に開放され、普段より多く話してくれました。

実際に遊んでみた記事もいくつかあるので、ぜひ読んでみてください。

ニッキンONLINEプラス2023年4月25日掲載 (リンク)

この記事を書いたメンバー

水本武志

ハイラブル株式会社代表。カエルの合唱や人のコミュニケーションの研究が専門。 あらゆるコミュニケーションを調べたい。生物研究プロジェクト Project Dolittle もやってます。

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