現代のビジネスの環境において、コミュニケーションの質の向上は重要である。とくに、対面やオンラインが混ざりあった環境で会議・議論・相談といった日々のコミュニケーションを効果的に行うことの重要性はますます増している。シリーズ「会議が見える〜音環境分析でコミュニケーションを豊かにする〜」では、これまで7万人以上の話し合いを分析してきた音の専門家が効果的な会議を実現するための手法を紹介する。Vol.20は、コミュニケーションゲーム「偉人ゲーム」を取り上げる。
本記事は、ニッキンONLINE PREMIUMで連載中の記事の転載です。
※媒体社の許諾のうえ転載しております。
ワークショップのアクティビティ
スキルアップなどを目的とした研修は金融機関や企業などで広く行われています。とくにグループワークやワークショップなど、受講生がグループを作って作業や議論をするアクティビティが多く、こうしたアクティビティは受動的に聞くだけでなく主体的に学ぶ体験ができ、内容が記憶に定着しやすいことが知られています。一方で、いきなり作られたチームで作業を行うことは難しく、最初に関係を作るアイスブレイクがとても重要になってくるでしょう。
これまで本連載では、バランスゲームやポカンゲームなどいろいろなアクティビティを紹介してきました。今回は、私が所長を務める「おたまじゃくし研究所」(以下、おたま研)で開発した新しいアクティビティ「偉人ゲーム」について紹介します。
尊敬する人を紹介する「偉人ゲーム」とは
あなたの尊敬する人は誰でしょうか。豊臣秀吉・渋沢栄一・松下幸之助などさまざまな歴史上の偉人が挙げられることでしょう。面接などでもよく聞かれる質問の一つのようです。そのため、こういう話題に慣れた人なら頭の中に尊敬する人のストックがあるかもしれません。ただ、これを紹介するだけだと定番の人が出がちです。
そこで、「偉人ゲーム」では紹介できる偉人に制限を加えました。
- ● その偉人が存命である
- ● その偉人と自分がお互いに個人を認識している
- ● その偉人は本を出版していない(論文や雑誌記事はOK)
この制限を加えることで、著名でない現在の偉人を紹介することになります。
その他のゲームの形式は過去の連載で紹介したビブリオバトルと同様にしました。つまり、
- ● 5分間その偉人の凄さをプレゼン
- ● 3分間質疑応答
- ● 「最も会ってみたい偉人」に投票し、選ばれた偉人を紹介した人が優勝
という形式で一番を選びます。
偉人ゲームの実験結果とルールの拡張
おたま研では、実際に偉人ゲームで遊んでみて、その結果を分析しました。実際に紹介された偉人や、優勝者の行動分析なども行っている詳細はこちらの記事を御覧ください。
今回設定した「存命である」「互いに認識している」「本を出版していない」というルールは、テレビや動画サイトでよく見る有名人を選べなくするという意味では効果的でした。しかし、面接では親や祖父母など親戚を選択するのがよくある例のようなので、そうしたテンプレートは選べてしまいます。まだまだ工夫の余地はありそうです。
偉人ゲームのカスタマイズとしては以下のようなアイデアがあります
- ● 「架空の人物である」という縛りにすることで、小説などの人物を紹介する
- ● 今回と逆に「互いに認識していない」という縛りにして、身近でない人物を紹介する
こうしたゲームは、アイスブレイクとして使えるだけでなく、自分がどんな人物を尊敬しがちなのかをメタ認知するのに役に立つかもしれません。
ぜひ試してみて、その結果を教えていただけるととても嬉しいです。
ニッキンONLINE PREMIUM 2024年11月23日掲載 (リンク)
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この記事を書いたメンバー

水本武志
ハイラブル株式会社代表。カエルの合唱や人のコミュニケーションの研究が専門。 あらゆるコミュニケーションを調べたい。生物研究プロジェクト Project Dolittle もやってます。