Vol.13 この雑談いつまで続けよう。アイスブレイクブレイクのすすめ【ニッキン転載記事】

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社会環境が複雑になる中で企業活動におけるコミュニケーションの重要性は増加し、その質の向上が求められている。一方で、テレワークの普及や働き方の変化に伴い、会議・議論・相談といったコミュニケーションは、これまでの対面中心からオンラインやその混合にまで多様化しこれまで通りの運営は難しくなっている。シリーズ「会議が見える〜音環境分析でコミュニケーションを豊かにする〜」では、これまで7万人以上の話し合いを分析してきた音の専門家が会議を解説する。今回は、緊張をほぐすために広く行われているアイスブレイクとその効果について解説と、本題に戻すアイデアを紹介する。

本記事は、ニッキンONLINE PREMIUMで連載中の記事の転載です。
※媒体社の許諾のうえ転載しております。
凍った場の空気を溶かすアイスブレイク
年も空けて、来年度に向けてさまざまな企画を立案する会議が行われているのではないでしょうか。新しいチームができたり新メンバーが参加したときは、緊張したり場の空気が固くなることがあります。これでは、新しいアイデアが出にくく、チームワークに支障が出てしまうかもしれません。テレワークで働くメンバーがいる場合は、コミュニケーションの量を増やしにくいため、一層課題が大きくなります。
そのような場を和ませる活動のことをアイスブレイクと呼びます。アイスブレイクの方法としては、お互いを知るようなゲームや、本題と関係のない雑談を会議の最初に行うのが一般的です。
アイスブレイクの効果
アメリカの心理学者 Anton Villado 博士によるとアイスブレイクには主に3つの効果があります。
1. 新しい環境に緊張しているメンバーが落ち着く。 新しい環境で緊張しているメンバーにとって、初めてその場で発言するのはとても怖いことです。そのため、いきなり本題に入ってしまうと、他のメンバーの会話に割って入ろうにも心理的負担が高いでしょう。そこで、アイスブレイク中に緊張しているメンバーが一度でも発言する機会を持つことで、緊張をほぐすことが期待できます。
2. チームの振る舞いのパターンがわかる。 アイスブレイクは本題と同じメンバーで行います。そのため、アイスブレイクは「本題の会議のリハーサル」といえます。 そのチームはどんどん割り込んでいく活発なチームなのか?あるいは、相手の話をじっくり聞く落ち着いたチームなのかの良い場なのか?という傾向をアイスブレイク中に感じ取ることで、チームの振る舞いのパターンを学ぶことができます。 そのため、アイスブレイクで知ったチームの振る舞いに合わせることで、本題の議論をスムーズに進められるでしょう。
3. 相互理解を深めるスピードが早まる。 通常、チームの相互理解はいきなり深まるわけではありません。会議を行う中でお互いのパーソナリティが徐々に見えてきて、少しずつ相互理解が深まっていきます。アイスブレイクを冒頭に入れて自己開示を行う場を用意することで、相互理解を深めるスピードを早めることが期待できます。
このような効果によって、アイスブレイクは心理的安全性を高める効果があります。そのため、Villado博士は「たとえ”こんな時間は無駄だ””アイスブレイクは嫌いだ”と思っていても、必要悪だと思ってやるべきだ」といいます。
具体的にどんなアイスブレイクをすればよいかについては、「会議が見える」シリーズで過去に紹介した バランスゲームポカンゲームも 効果的ですし、日本ファシリテーション協会で紹介している アイスブレイクのアイデア集も役に立つでしょう。
このアイスブレイクいつまで続くんだろう…
上記のような効果が期待されることから、アイスブレイクは良いアイデアでしょう。しかし、アイスブレイクの雑談のつもりが案外ずっと雑談が続いてしまった…ということはないでしょうか。それを気にしてアイスブレイク自体をやめてしまうのはもったいないですね。
私が所長を務めるおたまじゃくし研究所で行ったオンライン飲み会実験でも同じことが起こりました。そんなとき、他のメンバーが本題に戻すような発言をしてくれたのです(と言っても飲み会なので本題もないのですが)。私たちはそんな行動をアイスブレイクブレイクと呼ぶことにしました(参考: おたま研ラジオ第4回)
せっかく盛り上がっている雑談に水を差すようで気が乗らないが、もう本題に行かないと。。というジレンマを抱えるとき「アイスブレイクブレイク」という表現が使えるかもしれません。
「さて、そろそろアイスブレイクブレイクしますか」
と言って本題に戻してみるのはいかがでしょうか。
ニッキンONLINEプラス2024年2月17日掲載 (リンク)

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この記事を書いたメンバー

水本武志

ハイラブル株式会社代表。カエルの合唱や人のコミュニケーションの研究が専門。 あらゆるコミュニケーションを調べたい。生物研究プロジェクト Project Dolittle もやってます。

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