「チームメンバーによる定期的に行われる定例会議」は、もっとも典型的な会議体のひとつでしょう。その分、不満に感じている人も多いようです。
よくある不満は「会議が長い」。報告者以外は内職し、情報共有も議論も進まない。実際「報告型の会議は廃止し、チャットなど非同期な方法を使う」と、とにかく減らしたい悪者とされています。
ただ、本来はチームメンバーが状況を共有して議論すること自体は価値があるはずです。多様な視点のフィードバックが得られたり、文章に書くほどでもない小さな悩みなども共有しやすいからです。
ではなぜ定例会議は長いのでしょうか。ハイラブルの定例会議を例に、パターンを調べていきます。
ハイラブルのある日の定例会議を見える化したのがこの図です。
横軸は時間、縦軸はその時間の発話量を表します。色はそれぞれの参加者を表し、発話量を地層のように積み上げて表示しています。したがって、この図で見える面積が広いほどその時間に長く話していたことを意味します。
定例会議には (1)一人が報告している報告区間と(2)みんなで議論している議論区間の2つがあることがわかります。色が1つだけの区間が報告区間、他の人の色も混ざっている区間が議論区間です。
この構造がわかると、メンバーの特徴が見えてきます。たとえば、
- 最初に報告した黄色のメンバーは、議論中にも多く話している。
- 2番目に報告したオレンジ色のメンバーは、議論区間が長い。 ただし、議論区間では多くのメンバーが参加している
- 最後に報告した緑色のメンバーは、報告は他より短いが議論が著しく長い。
このように定例会議を分解すると、長くなる理由が見えてきます。
- 報告区間が長い。
- 報告区間のばらつきが大きい。
- 議論区間に特定の人(報告者や上長など)だけが話している。
- 議論区間が、多くの人が参加している。
- 議論区間に、報告者以外の議論が起こっている。
これらは全て悪い会議でしょうか。目的によっては、長くても問題ないものもありそうです。
報告区間と議論区間の長さなら、ストップウォッチで計測できます。とてもシンプルですが、これを全員で共有することで様々な効果があります。たとえば、
- 報告時間に納めるために内容を要約する。
- 不要な議論に立ち入らないようになる。
- 「重要だから時間を伸ばして議論する」と明示的に判断する。
ハイラブルでは、たとえば次のような目標を会議前に宣言し、振り返りを行っています。
- 報告区間を短くする。
- すべての議論区間で議論に参加する。
- 議論区間で話しすぎず、相手の意見を聞く。
みなさんの定例会議も、ストップウォッチでパターンを計測して、振り返ってみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたメンバー
水本武志
ハイラブル株式会社代表。カエルの合唱や人のコミュニケーションの研究が専門。 あらゆるコミュニケーションを調べたい。最近生物研究プロジェクト Project Dolittle も始めました。