法人営業の佐藤です。4か月ほど前にハイラブルに入社しました。私は営業を長く経験しており、ハイラブルに来る前も周囲に営業が多く、発話量が平均して高い職場にいました。そのため、相手からすぐにレスポンスが来てそれまた返していく、テニスのラリーのような会話が日常でした。
自分は話が長いという意識は特にありませんでした。しかし、入社後に始めて参加した会議を Hylable Discussion で可視化したところ、予想外の結果になりました。それがこちらのグラフです。

棒グラフの長さはそれぞれの参加者の発話時間を表していて、赤枠で囲んだオレンジ色が私の発話時間です。
私、ダントツトップですね。笑
実は、後から分かったことですが、ある調査によれば、従業員の33%、経営層の77%が会議に不満を持っています。
さらに、その原因の48%が「話す人が決まっていること」なのです。
(出典: 株式会社アイランドクレア『会議意識調査』2019)
ハイラブルに出会っていなければ、危うく会議の満足度を落としていることに気づかない人になるところでした。
そこから、発話時間を減らそうと試行錯誤をしていきました。もちろん最初からうまくは行きませんでしたが、4ヶ月後(2023年12月7日)の同じ会議で成果がでました。

先程と同じ棒グラフで、赤枠で囲った緑色の棒が私の発話時間です。見事に平均発話時間を下回り、全体の発話量の中でも最下位になれました。
この成果を得るために私がどのように考え、何を意識してどのような行動をしたのか、私の事例を紹介していきます。
話が長くなってしまう原因は?

まず、話が長くなってしまう原因を5つ考えました。
- 【原因1】新しい環境に慣れていない
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私の前職の会議の平均発話量と比べると、体感的にはハイラブルは半分ぐらいだと思います。
話す量が全く違う環境なので、前職の感覚で話していたら自然に発話量がトップになってしまっていました。 - 【原因2】聞き手側のリアクションが薄い
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営業をしていると、どうしても相手のリアクションに意識が向いていきます。相手から良い相槌が返ってくることで、ワード選びやトークのストーリーが良かったんだと感じられます。
もちろんハイラブルでも聞き手側のリアクションはありますが、営業に囲まれていた前職ほどは大きくなかったのです。
するとどうしても、もっと大きなリアクションが欲しくて「良い表現はないのか?」と探し始め、どんどん言葉がでてきてしまうのです。 - 【原因3】分かりやすく話そうとする
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これも営業経験の癖です。営業では初対面の人にサービスを知ってもらうために、一般的なことに例えて表現する必要があります。
これを社内の会議でも行っていたので、自然に言葉が増えて、話が長くなってしまうんです。 - 【原因4】静かな空気を変えたい
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私の経験してきた営業では、契約が取れる時のほとんどが「静かな商談」とは真逆の、笑ったり、共感し合ったり、褒めたりといった具合に「盛り上がる商談」でした。
社内の会議はそれに比べると静かなので、思わず「なんか静かだから話した方がいいかな」という感覚になり、盛り上げようと思って話し出してしまうのです。 - 【原因5】答えられそうなことは全て答える
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知っていることを伝えて貢献したいという気持ちや、「自分が答えたい」という気持ちから、自分に知識がある話題だといつでも話に参加していました。
これをどうやって解決していけばよいのでしょうか?そもそも解決する必要はあるのでしょうか?
そんなことを考えていたところ、発話を減らそうと思うようになるきっかけとなったある研究に出会いました。
発話を減らそうと考えるきっかけになった研究

私が出会った研究プロジェクトが、 Google のプロジェクト・アリストテレスです。このプロジェクトでは4年間かけて180チームに250項目の調査を行い、成果の出るチームに共通する2つの特徴を発見しました。
- 均等な発言機会
会議の場で、発話量の偏りが少なく、全員が満遍なく話をしている状態です。 - 社会的感受性
自分の発言が相手にどのような影響を与えるのか理解して発言できている状態です。
特に1つ目の条件を見たときに思わずハッとしてしまいました。均等な発言機会をもたらそうにも、会議中に特定の人が時間を占領してしまったら成り立たないからです。
このプロジェクトのことを知ってから、私は発話量を減らす為の試行錯誤をするようになりました。
発話量を減らすことに成功した2つの方法
長年の経験や様々な理由で多くなった発話量を減らすにはかなりの努力が必要じゃないか?そう考えたくもなりますよね。
しかし実は意外とシンプルな方法で激減できたのです。
【工夫 1】圧倒的結果を得るための「10秒待つテクニック」

何か話そうと思ったら、心の中で10秒数えた後に発言します。こういう感じです。
「思いついた!!!1・2・3・・・・10!そのことなんですけど、…」
「いやいや、そんなことで発話量減るわけないでしょ」と思ったかもしれません。しかし、これはかなり効き目がありました。
というのも、いつもあまり話さない人が、数え始めて5秒後くらいに発言し始めるたからです。これはすごく興味深い結果でした。
正直に言うと「このタイミングで???」と思いました。会話のラリーの中で5秒間の空白は長いように感じました。
気になったので、会議後に普段発話量が少ない人に聞いてみたところ、驚きの回答をしてくれました。
Q「発言が少ないですが、会議中はどんな心境なんですか?」
A「話をまとめてから発言したいから、そこまで早くレスポンスできないんだよね。だから逆に発言してくれる人がいると考える時間が増えるからありがたいよ。それで発言する時間がなくなってしまう時も結構あるけど。」
つまり、相手の話を聴いた後、話すことを構成してから話す人だったのです。すぐにレスポンスできないだけであって、発言がしたくないとか、発言することがないというわけではなかったんです。
状況を絵にまとめるとこんな感じです。

逆に私は、聴きながら次に話すことを構成して、すぐに発言するのでレスポンスが早いんです。これは営業で鍛えられたものだと思います。
まとめると、発言量が少ないと思っていた人は、私より発言するまでのアクションが一つ多いだけで、時間に猶予があれば発言してくれるのです。
これは大きな発見です。
これが、時間が限られている中で発言機会を均等にするために、「10秒待つ」ことが効果的な理由です。
【工夫2】質問で相手の発言を増やすテクニック

「10秒待つ」テクニックが守りであれば、こちらは攻めです。自分の発話量を減らすのではなく、他のメンバーの発話量を増やすアプローチです。
ポイントは「どんなことでも質問する」ことです。
特に、ハイラブルでは全職種が集まって会議をするので、専門性の違う話題になることが多くあります。
たとえば、システムや技術の話になったら、何を質問したらいいのかもわかりません。
そこで、おすすめなのは「知らない単語を聞く」ということです。
例えば「AWSってなんですか?」と質問すると、質問の内容で私のリテラシーを読み取ってくれます。
すると、相手側も全く知らない人に伝えるために、嚙み砕いて一つ一つ説明してくれます。その結果、発話量が多くなるのです。

目標は発話量を増やそうとすることだったのですが、そのために質問をした結果、話し手は説明力が身に付き、聞き手は知識が身につくといったwin-winの状態になりました。
相手に合わせた会話をするための知るツール

私達が提供するハイラブルディスカッションでは発話量のほかにも、会話のやり取り、会話の変化などがリアルタイムで表示されるため、まず社内の人はどのタイプなのか?を知ることができます。
実際に使うと非常に驚きがあります。思っていたより「発言してなかった」「思ったより発言しすぎていた」などのギャップに気づくことができました。
これまでに使用された他の方の声はぜひこちらから確認してみてください。
後書き
私が発話量を最下位にするという目的を達成した次の週のデータがこちらのグラフです。私だけでなく、全員の発話量が平均にとても近くなったのです。

そこでメンバーに「平均発話量が均等になったが、何か変化はありましたか?」という疑問をぶつけてみました。
すると、一番目立った回答が「佐藤さんが周りに合わせてくれているのをすごく感じたので、それによりストレスを感じてないか気になる」という回答でした。
それを聞いて私は驚きました。なぜなら会議自体の変化ではなく、私の努力を認めて心配してくれるものだったからです。
実際のところは、もちろんストレスがないといえば嘘になります。10秒待つことに対して少しじれったい感覚はあります。しかし、それ以上に「どうやったら発話量を下げられるのか?」という目標達成に意識を向けていたので、それほどのストレスに感じませんでした。
このように可視化されたデータが全員に見えることで、努力が共有され、それが周囲へ与える影響が大きいと感じる、面白い結果となりました。

まとめ
元々発話量が多いタイプの私が発話量を少なくするためにこのように意識しました。
- 考えながら話せるタイプと考えをしっかりまとめてから話すタイプとがいることを認識する
- 何か思いついたら10秒待つ
- 質問して周りの発話量を上げる。特に単語の意味を聞く
こんなにシンプルですが、平均発話量に近づけるということが分かりました。
今回は「平均発話量が少ない環境下で、発話量が多いタイプがどう立ち振る舞うか」という私の例を紹介しました。しかし、平均発話量がそもそも多い場では違う方法があるでしょう。
場に合わせて会議に参加するためには、他のメンバーのタイプを理解して適切に発言と質問をしていくということが求められそうです。
更にまたコミュニケーションを研究していきたいと思います。
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この記事を書いたメンバー

佐藤豪
ハイラブルのNo.1発話量を誇る営業マンで、コミュニケーションを研究しています。外国人を見かけるとすぐに話しかけてしまうクセあり。