発言者のキャラクターで発言傾向が変わる? 【ハイラブルの製品に関する文献】のすすめ vol.3

公開日

こんにちは、ハイラブル株式会社でアルバイトをしている松本です。大学院で情報学を専攻し、学習者へのフィードバックに関する研究をしています🐸よろしくお願いいたします。

今回は、ハイラブルの製品に関する文献のご紹介のvol.3となります。
vol.1はこちら、vol.2はこちらをご覧ください。(vol.3のみでもお楽しみいただけます)

※このブログでご紹介している文献については、弊社コーポレートサイト「導入実績」の下部「ハイラブルの製品に関する文献リスト」にて掲載しております。
リストでは、ハイラブルの製品を使った研究をご紹介しております。ご紹介した文献以外の他の文献も多数ございますので、是非、興味のある方はご覧ください。

はじめに

ハイラブルの製品は、様々な分野の研究にご利用いただいております。

例えば教育分野では、小学校から大学までの様々な教育機関で、国語や英語、体育などの様々な教科のグループディスカッション分析でご利用いただいておりますし、
教育現場以外にも、会議におけるファシリテーション研究のお手伝いをさせていただくこともございます。

そして同じ製品を使用していても、使用場面・メンバー・検証する内容などの違いで、分析結果から得られる知見がそれぞれ異なります。
そのため、ハイラブルの製品に関する文献にはとても興味深い研究が多く存在します✨

そこで今回は、そのような研究の文献をピックアップしてご紹介いたします🥚
ご興味のある分野以外の研究からも、新たな視点の発見や興味の惹かれるトピックへの出会いのきっかけとなれば幸いです。

ご紹介する文献

今回ご紹介する文献は、東京都教育庁の政策の一環で行なわれた実証実験についての文献です。

この実証実験では、小学校のグループ活動を対象とし、児童の「他の人からどう見られているか」や「みんなの役に立ちたいか」などのキャラクターの個人差とディスカッション中の発言の関係を分析しています。

児童のキャラクターが発言のタイミングや量に関わっていそう、という感覚は自然なものですよね。グループ活動と個人のキャラクターの関わりについて興味のある方は必見です👀


  • 事業名 / 都内検証実施自治体における推進事業
  • 著者 / 東京都教育庁総務部教育政策課
  • 発行年度 / 2020
  • トピックス / 小学校/グループ活動
  • 書誌情報 / 東京都教育庁総務部教育政策課, “都内検証実施自治体における推進事業”, 公立小中学校におけるICT 利活用モデル検証成果報告書, pp. 61-64, 2021.
  • 使用しているハイラブルの製品 / Hylable Discussion(製品ページはこちら
  • 掲載情報 /ウェブサイトへのリンク, 文献へのリンク ※ハイラブル製品に関する内容はpp. 61-64に掲載されています (外部リンクへ遷移します)

💡ここが面白い!

それでは、実際に読み解いていきましょう!


※このブログの「💡ここが面白い!」は、このブログの筆者が文献を読んで面白いと感じたポイントや感想を掲載しています。そのため、該当文献の詳しい内容が記載されております。文献をご覧になっていない方でも問題なくお読みいただけますが、宜しければ文献をご一読されてから続きをお読みください!
💡今回の文献はこちら

① 個人の特性とディスカッション傾向の関係


直感にあった結果が提示されています。例えば、「自分の発言を他の人がどう思うか気になる」(=公的自己意識が高い)という特性をもった児童は、平均割り込みが統計的に少ない傾向が見られます[p.61]。また、「みんなの役に立ちたい」「自分のことは自分で決めたい」(=自尊感情が高い)と思っている児童は、発言量が統計的に多いことも明らかになっています[p.62]。これらから、「周りを気にするから人が話しているときには話し始めないのかも」「自分の意見を伝えることが好きなのかも」などといった解釈がふくらみます。


自尊感情の「高」「低」別の児童の学習意識とグループディスカッション傾向[p.62]


② 児童一人ひとりの分析


さらに、児童の特性を個人ごとに比較することで、その児童のキャラクターと発言がどのように関係しあっているのか、より一人ひとりにフォーカスされた傾向をつかむことができています[p63]。例えば、発言や発信の少ない子の考えも汲み取ることができ、児童にあった声かけのきっかけになりうるなと感じました。また、定量的なデータで個人の特性の差を検出できているということは、個人の特性をより客観的に理解できる根拠となる可能性があり、とても興味深いです。



③ 傾向の理解は学習の支えのきっかけ


考察に「1 人 1 人の傾向が分かり、1 人 1 人のキャラクター性が分かることは、あくまでもその児童の人間性を変えるためにあるものではなく、学習の達成のために必要な声掛けをするという意味で非常に参考になる。」[p.64]というものがあります。個人の特性を「変化させること」が目的ではなく、学習の「支えのきっかけにする」という考え方が知見として深いものだと感じ、大きな学びになりました。


おわりに

さて、三回にわたりハイラブル製品に関する文献をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?

私自身、このブログ執筆を通し、さまざまな視点からHylable Discussionの効果を考えることができました。
みなさまにとっても、少しでも興味の惹かれるトピックへの出会いのきっかけとなっていれば幸いです。

vol.3まで読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました。
まだこちらの記事以外ご覧になっていない方は、ぜひほかの文献紹介ブログもご一読ください!
*vol.1はこちら
*vol.2はこちら

もしもこのブログでハイラブルの製品に関する文献に興味を持っていただけたら、文献リストも是非ご活用ください。文献リストはこちらからご覧いただけます。

 

この記事を書いたメンバー

松本

アルバイトをしている大学院生です。
先日いちご狩りに行きました🍓 たとえ酸っぱくても、いちごに練乳はかけない派です。

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